「稽古の後の道着、手洗いは正直しんどい……」
「洗濯機で洗っているけど、襟元の黄ばみが取れない」
仕事に家事に忙しい30代・40代にとって、分厚い道着の手洗いは大きな負担です。
かといって適当に洗っていると、気づけば襟や脇が黄色く変色したり、生乾きの嫌なニオイが染みついたりしてしまいます。
実は、道着を真っ白に保つために必要なのは、ゴシゴシ洗う労力ではありません。「洗剤の化学反応」と「ちょっとした道具」の活用です。
ネットでは「伝統的に手洗いすべき」という意見もありますが、素材と方法さえ選べば、洗濯機でも十分に品質を維持できます。
この記事では、話題の「オキシ漬け」を使った黄ばみ対策から、プリーツ(ヒダ)を崩さずに袴を洗濯機で洗う裏技まで、現代の合気道家のためのメンテナンス術を解説します。
黄ばみ対策(道着):40℃のお湯と酸素系漂白剤
道着の黄ばみの原因は、繊維の奥に残った「皮脂汚れ」が酸化したものです。
これを落とすのに、普通の洗剤や冷水での洗濯は無力です。
最強の武器となるのが、「過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)」を使ったつけ置き洗い、通称「オキシ漬け」です。
塩素系(キッチンハイター等)は絶対NG!
まず重要な警告です。白くしたいからといって、塩素系漂白剤(キッチンハイターなど)を絶対に使わないでください。
塩素系は漂白力が強すぎて、道着の繊維(コットン)を傷めるだけでなく、化学反応で逆に樹脂加工部分が黄変したり、ピンク色に変色したりするリスクがあります。
必ず「酸素系」を選んでください。「オキシクリーン」や「シャボン玉石けん 酸素系漂白剤」などが代表的です。
酵素が目覚める「温度」が命
酸素系漂白剤を入れても、「水」でつけ置きしては効果が半減します。
洗剤に含まれる酵素が最も活発に働き、皮脂汚れを分解するのは「40〜50℃」のお湯です。
- 手順1: バケツや洗面器に40〜50℃のお湯を溜める(お風呂の温度より少し熱め)。
- 手順2: 酸素系漂白剤を規定量溶かす。
- 手順3: 道着を一晩(または2〜3時間)つけ置く。
- 手順4: そのまま洗濯機に入れて、通常通り洗剤を入れて洗う。
これで、驚くほど白さが復活し、除菌効果でニオイも消え去ります。
袴の洗い方:テトロンなら洗濯機でOK
「袴は洗うのが怖い」という声をよく聞きますが、素材によって扱いは全く異なります。
【重要】藍染(綿)の袴の場合
本藍染の袴は、洗濯機使用厳禁です。色落ちが激しく、他の衣類を真っ青に染めてしまいますし、洗濯槽も汚れます。こればかりは、たらいでの手押し洗い(洗剤なし、水のみ)を徹底してください。
一方、多くの人が使用している「テトロン(ポリエステル混紡)」の袴であれば、工夫次第で洗濯機洗いが可能です。
ヒダを守る「クリップ固定」とネット活用術
洗濯機で袴を洗う最大のリスクは、水流で揉まれて「ヒダ(プリーツ)」が取れてしまうことです。
これを防ぐために、100円ショップなどで売っている洗濯バサミやクリップを活用します。
- ステップ1:きれいに畳む
脱いだ直後と同じように、ヒダを整えて正式な形に畳みます。 - ステップ2:クリップで留める
畳んだ状態が崩れないよう、数カ所を洗濯バサミで挟んで固定します(金具が露出していないプラスチック製が推奨)。 - ステップ3:ネットに入れる
畳んだ袴がぴったり入るサイズの洗濯ネットに入れます。大きすぎるネットだと中で動いて崩れるため、ジャストサイズが重要です。
コース設定は「優しく」「脱水短め」
洗濯機の設定は「手洗いコース」や「ドライコース」などの弱水流を選びます。
そして最も重要なのが「脱水時間」です。
長時間脱水をかけると、遠心力でシワが定着してしまいます。脱水は1分〜2分程度にとどめ、水が滴るくらいで取り出すのがコツです。
干し方テクニック:陰干しと空気の通り道
洗濯が終わったら、すぐに干します。放置するとシワの原因になります。
道着は生地が分厚いため、生乾きになりやすいのが難点ですが、ここにもテクニックがあります。
直射日光は避けて「陰干し」
天気が良いと外に干したくなりますが、直射日光(紫外線)は生地を傷め、変色の原因になります。風通しの良い日陰に干すのが鉄則です。
乾きにくい箇所への対策
- 上衣(道着):裏返して干す
縫い目が重なっている襟や脇は、表のままだと乾きません。必ず裏返してください。 - ズボン:ハンガー2本使い
普通に干すと筒の中の空気が動きません。ハンガーを2本使い、四角く広げるようにして筒状に干すと、風が通り抜けて短時間で乾きます。
保管と仕上げ:次の稽古のために
乾いた後の処理で、着心地と道着の寿命が変わります。
袴の「寝押し(ねおし)」
テトロン袴はシワになりにくいですが、それでも洗濯後は少しヒダが浮くことがあります。
きれいに畳んだ後、寝る時に布団の下(または座布団や重い本の下)に敷いて一晩プレスします。
これを「寝押し」と言います。アイロンを使わなくても、これだけでピシッとしたヒダが復活します。
道着の寿命サイン
どんなに丁寧に洗っても、道着には寿命があります。
- 襟元が擦り切れてきた
- 生地が薄くなり、相手の掴みに耐えられそうにない
- サイズが縮んで動きにくい
このような状態になったら、安全のためにも買い替えを検討しましょう。
きれいな道着は、自分の心を整えるだけでなく、組む相手への礼儀でもあります。
お手入れのサイクルを最適化して、気持ちよく稽古に臨んでください。









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